えびしんじょうのにっき

方向性不明のまま見切り発車。今は思ったことつらつら書いてます。後に整理予定。

そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティ

最近自分の時間に余裕を持てるようになったので、「とにかく本を読もう!」と思い立ちまして。
折角ならと色々調べ、「推理小説が読みたい(ミステリーが好き)!」「有名な作品を読もう!」というとても安直な結論に至り、この本を手に取りました。
同著者の有名作品だと「オリエント急行殺人事件」がすぐ思い浮かぶのですが、こちらはなんやかんやで結末を知っているので、一旦スルーしました。

基本にわか+ミーハーなものでして、考察やら浅い所が多々ありますが、思ったことをつらつら書いていきます。
本の批評ではなく、ただの個人の感想なのであしからず!

■概要

言わずと知れた「ミステリ女王アガサ・クリスティ」の超超有名作品です。
読む前にこの本の評価を検索していたのですが、至る所で高評価を受けていました。

さまざまな職業、年齢、経歴の十人がU・N・オーエンと名乗る富豪からインディアン島に招待された。しかし、肝心の招待主は姿を見せず、客たちが立派な食卓についたとき、どこからともなく客たちの過去の犯罪を告発してゆく声が響いてきた。そして童謡のとおりに、一人また一人と…ミステリの女王の最高傑作。
Amazon 商品の説明より引用)

商品説明でも最高傑作と評するのだから、さぞかし楽しいのだろうな!と期待に胸を膨らませていました。

そして、期待通りに面白かったです。さすがです。
推理小説とうたっていますが、あんまり推理させる気は無いのかな…?と若干思いつつも、ネタ明かしの場面では感嘆の息が漏れました。
そして気になった部分を読み返し、、、読了感はとてもスッキリ、満足でした!

■登場人物について

原題の「Ten little niggers(十人の〜)」から読み取れるように登場人物が多いです。
更に序盤で人物描写ラッシュがありますので、最初のうちは混乱すると思います。
(更に、私はカタカナを覚えるのが非常に苦手+名前を覚えるのが苦手、というトリプルコンボでやられまくり)

ですが、私が読んだ文庫(上記Amazonリンク参照)では、カバーの折り返し部分に
「登場人物の名前」&「一言人物紹介」
が記載してあったので、それを道しるべに読み進める事が出来ました。
登場人物は多いのですが、それぞれ特別な個性を持った人物で、読み進めると全く気にならなくなりますけどね!

■和訳について

私が手に取ったのは「清水俊二」さんの和訳バージョンです。
結構昔の本なので、分からない言葉とか多いのかな…と思っていたのですが、小難しい言い回し等はなく、すんなり読めました。
時代背景に沿ったセリフ等、雰囲気を味わいたい私にはとっても素晴らしい和訳でした。
ただ、「タンの缶詰」とか「ロースト・タン」が、あのタン(舌)なのかすごく気になっていましたが…(笑)



ここからはネタバレを存分に含んでいますので、以降の感想は読了後の閲覧をお勧め致します。



■推理について

全く犯人の予想がつきませんでした(笑)
一体誰が犯人なんだ…!?という猜疑心に満ち満ちた目で小説を読み進めたつもりではいましたが、私の読みは悉く外れていました。
概要にも記載した通り、ネタ明かしの告白書で犯人が判事である事が明らかになった時は素直に驚きました(笑)


序盤〜中盤は「アームストロング」か「ヴェラ」に当たりをつけていました。

「アームストロング」は医師であり、インディアン島に医師は彼しかおらず、屍体について言及する事を疑う者は居ませんよね。
それにロジャース婦人に薬を飲ませていたしなあ、犯行が可能な隙が多いなと。
まあ、でもコレはありきたりな説なので、まさかそんな事はないかな〜と思いつつ、彼の言動を注視していました。

そして「ヴェラ」に関しては、マカーサ将軍やブレント老婦人の重要な話を聞く役でしたし、彼女の描写も多いなと感じていたので、何か最後に重要な伏線があるのではないか…!?と期待を含めて当たりをつけていました。


終盤(アームストロングの死後)に差し掛かった所で、「あっ!これ、死んでると見せかけて誰か生きてるパターンじゃね!?」と気付き、
「死んでると見せかける」事が可能なのは、死に方が綺麗だった「ロジャース婦人」と睨んでいました。
外傷もなく亡くなったのは彼女だけでしたので。


まあ、完全に踊らされていましたよね(笑)

あとがきにもあったように、「読者にとって信憑性のある描写を意識的に避けている」ため、推理というより真犯人を突き止めるには、閃きが必要だったのかなと。
無駄に推理しようと思っていたせいか、ネタ明かし部分のスッキリ感は半端なかったです(笑)
亀じいすごいよ〜〜!!

■犯人について

判事もとい、亀じいカッコイイな〜〜〜と思いました。
完全に亀みたいなノロノロしたよぼよぼおじいちゃんを想像していましたが、告白書を読む限りだと結構アグレッシブですよね!
(グラスに毒を入れたり、睡眠薬を盛ったり、後ろから殴ったりとか)

少し気になったのは、結局亀じいが最後自害するわけじゃないですか。
最後自害する理由って、「芸術的な完全犯罪」の為でもあったけど、「矛盾の多い性格」の「正義」の部分が色濃く残ってたからなのかなと。
そう考えると、首尾一貫している亀じいめっちゃかっこいいですね。好きです。

告白書を読んだ後に、もう一度ざっと読み返すと、確かに「オーエン=Known」や「10人の中に犯人が居る」とか誘導していたのは亀じいだな〜〜!!やっぱかっけ〜〜〜!!!!って一層ファンになりました。すごいよ亀じい。

■その他、雑多な感想

殆ど独り言です。

・アンソニーについて
亀じいが、殺す順番に拘ったとおっしゃっていましたが…一つ納得いかないのが…
アンソニーなんで最初なの(笑) 私からみると、こいつが一番のヤバい奴だろと思っちゃうんですよね。
亀じいは彼の事を「ほとんどすべての人間が盛っている道徳的責任感を持ち合わせていない人間であると認めた」とおっしゃっているわけですが…。
それが一番ヤバい奴だと思うのは私の個人的な解釈なのか、時代なのか。
だって、見ず知らずの子供2人も殺して免停だけで、しかも殺される前に犯罪に乾杯してるし(笑)
やばいでしょ(笑)

・原題と和題について
差別用語ですね〜、それは置いといて。
「Ten little 〜」ってなってるわけだし、和題も「10人のインディアン」とかじゃダメだったのかなと思いつつ。
でも「そして誰もいなくなった」も哀愁漂ってて良いか。
→これはアメリカ版の「And Then There Were None」の訳だったのか、なるほどなるほど。

・ものたりなかった所
もう少しだけ、動機付けのインパクトがあったほうが面白かったかな、とか。
私が期待しすぎた感がありますが、実は登場人物が繋がってて〜とかの捻りに期待しちゃってました(笑)
でもそういう繋がりがないから、亀じいの異常性が際立つのかと思う所でもあります。

・童謡怖いな
「10人のインディアン」の原曲は知らなかったです。現在のただインディアンを数えている歌しか知りませんでした。
日本にも怖い童謡ありますが、この原曲って時代背景も相まって怖いな、と。
原曲を貼ろうと思ったんですが、なんか気味が悪いためBeachBoys版で爽やかに終わりましょう。


Beach Boys - Ten Little Indians - YouTube



次は、「13階段高野和明」を読む予定です。
江戸川乱歩を少し読んだ事があり、その狂気染みた作風に魅了されたのですが、その江戸川乱歩賞を受賞した作品という事で、期待感高まります。
また読み終わりましたら、更新したいと思います!